桐たんすと桐材の善し悪し

 良い桐、悪い桐材、スカスカした桐と、桐にも色々ありますが、やはり目の詰まった、しっかりとした、そこそこ程度の良い桐材で桐たんすを造らねばなりません。
 そのような程度の良い桐材を、出来るだけ無駄なく、適材適所に上手に使って生かす事が、桐たんすを長くお使いいただけることになるかと思います。
 このページでは、桐の木について、触れてみたいと思います。
   桐たんすと桐材、桐たんすの天板のカンナがけ

国産の桐といっても、全て、桐たんすに向くわけではありません。

 国産の桐といっても、全てよいというわけではありません。
 目が詰まっていて、しっかりとしていて、硬めの桐の木もあれば、本当に、やわらかくて、スカスカしていて、こしのない桐の木もあります。このように桐の木も、一本一本違い、個性があって、千差万別です。
 そして、桐たんすの桐材として向くのは、しっかりとした、堅めの桐の木です。
 なぜなら、桐たんすは、桐の小箱や、小物入れと違い、大きくて、強度が必要だからです。
 そして、なおかつ、狂いにくいという精度も必要です。要するに、強度と精度、両方が必要だからです。
 ですから、スカスカしていて、こしのない桐の木で、桐たんすを造っても、あまりいいものは出来ませんし、長くは、使えません。
 
 桐たんすと桐材、会津桐

国産の桐について

 桐は、日本各地で、育って産していますが、桐材としましては、産地によって、結構、違いがあります。
 西日本よりも、東日本、ことに東北地方で産するものが、質がよいようです。さらに、その東北地方の中でも、会津地方の桐が一番よいとされ、会津桐として、有名です。
 そんな会津桐でも、桐の木は、一本ずつ違い、全てよいとゆうわけではありません。目が細かく、木目もきれいで、特別上等な桐の木もあれば、スカスカして、ちよっと、トボケタような桐の木もあります。

 桐たんすと桐材、会津桐を並べて木取りの予定をたてる

外国産の輸入桐が、全て、国産の桐より劣るわけではありません。

 外国産の輸入桐が、全て、国産の桐より劣るわけではありません。
 例えば、北米、アメリカの桐は、大変、目が細かく、詰まっていて、しっかりとしていて、質のよいものです。
 これは、昔、会津の桐を、移入したからということです。物や場合によっては、本家の会津をしのぐと思われます。
 ただ、中国の桐に関しては、質が悪いようで、まともな桐たんすを造るのには、不向きなようです。

国産桐、輸入桐、そして、適材適所

 このように、外国の桐よりも、日本産の桐が、優れているとは、一概にいえません。
 ですから、国産の桐や、会津桐を使って、造った桐たんすだから、上等な物だとか、外国の輸入桐を使った桐たんすだから、安物だということにはなりません。
 人間が、一人一人、個性があって、違うように、桐の木も同じで、一本一本、やはり個性があって千差万別です。桐たんすを造るのに、向く木もあれば、向かない木もあります。
 そんな桐の木を、この木は、桐箪笥のこの部分にとか、あの桐の木は、あの部位にとか考えて、適材適所に使うことが大事で、難しいことでもあります。

目が詰まって、しっかりした程度の良い桐の木が使い易いです。

 目の細かい、きれいな木目の、特別上等な桐もあります。こういった桐は、通常、桐たんすの場合、前側の化粧用の練りつけ板として、使います。ですから、そう多く使うものではありません。
 また、スカスカした、大変柔らかいような桐もあって、この手の桐は、桐たんすには不向きです。
 やはり、そこそこ目が詰まっている、しっかりした程度の良い桐の木が使い易いです。こういった桐は、桐材として強度もあり、狂いにくく、桐たんすに向いています。
 桐たんすと桐材、きれいに削られた会津桐
 古い桐たんすを修理するときなど、箪笥の前側だけ、見栄えのする化粧用の上等な桐が練りつけてあって、他の部分や、内側や目に付かない部分は、ひどい材料が使ってある桐たんすがあります。この手の桐たんすは、大変、傷んでいて修理するのに、時間が、かかり、非常に苦労します。こういうのは、本末転倒といえるでしょう。
 

桐たんすの部位に応じて、適材適所に、桐材を使います。

 そこそこしかっりした、程度の良い桐の木も、木によって、1本、1本違いがあり、様々な個性を持っています。
 例えば、癖があるけど強い桐の木、また、そう強くないけど、素直で、真っすぐで、性のよい桐の木、など、色々です。
 また、1本の木でも、強くて癖がある面や、素直な面など、部分によって、違いがあります。これは、よく日の当たる面、雨、風が当たる面などによって、性質が変わるからです。
 さらに、1本の丸太をスライスして、板目に割った板と、みかんを割るように、柾目に割った板とは、性質が変わります。
 板目取りした桐の板は、少々狂いやすいですが、強度があります。また、柾目取りした桐の板は、大変狂いにくいですが、板目のものと、比べて、強度は弱いです。
 このように、柾目と板目で、桐の板の性質が変わります。
 桐たんすと桐材、木取りの様子
 そして、桐たんすも部位によって、強度が必要なところ、また精度が必要なところ、そして、そう強度が必要でないところなど、様々です。
 例えば、桐たんすの胴板などは、強度が必要で、特にしっかりした桐の木を板目に取ったものを使います。
 このように、様々な桐の木を、桐たんすの各部位に応じて、適材適所に使い分けます。
 

桐の木は、雨に打たせて余分な樹脂を抜きながら、よく乾かして使います。

 桐の木に限らず、木というものは、伐採して生木のときは、余分な樹脂分を含んでいます。その余分な樹脂分は、虫がつく原因になったり、アクが出る原因になったりします。
 ですから、余分な樹脂分を、よく抜いて乾燥させて使うことが大事です。
 最近では、あまり見かけませんが、昔、貯木場は、たいてい河口などにあって、沢山の材木が水に浮かべられていました。
 つまり、余分な樹脂分を、水で抜きながら乾燥させる課程があったわけです。
 桐の木の場合は、板に割ってから、雨ざらしにして、雨に打たせて、余分な樹脂分を洗い出して、抜きながら、乾燥させて使います。
 大体、一分(3ミリ)一ヶ月といわれ、7分(21ミリ)の桐の板ですと、7ヶ月間ほど雨ざらしにしながら、乾燥させて使います。
 こうして、よく乾燥させた、程度の良い会津の桐は、大変、狂いが少なく、桐たんすに造られてからも、精度が保てます。 

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