桐たんすリフォーム(修理、再生)は、傷みの原因を調べ、お客様と…

 桐箪笥のリフォーム(修理、再生)は、破損した箇所を点検し、傷みの原因を調べることから始まります。
 主に傷みの原因は、木の縮みや反りによることが多いですが、他にも、いろいろと原因があります。
 そして、お客様と、どのように修理し、再生するか、相談して決めて、桐箪笥のリフォームの作業が、始まります。

桐たんすリフォーム(修理再生)の作業の説明 (家具修理再生、リフォーム)

桐たんすリフォーム(修理、再生)前の破損の状況とその原因

  桐たんすリフォーム修理再生前の、破損の状態
 お客様は、兵庫県神戸市に住んでおられますが、京都にも家があって、月のうち半分くらいは京都におられます。
 観音開きの扉の付いている桐たんすです。内側にお盆が入ります。お客様のお母様の持っておられた桐箪笥で戦前のものです。上品な桐箪笥ですが、大変傷みが激しく、大幅な修理が必要です。
 主に、傷みの原因は、木の縮みと反りによるものです。桐の木でも、何十年も経つと、1%以上、縮みます。
 この桐箪笥は、幅90cm、奥行42cmありましたが、幅で、約13mm、奥行は、約7ミリ程度縮んでおり、内側のお盆が、収まりきれず、扉が閉まらず外れておりました。 

桐たんすの木地修理、修復、再生(リフォーム)作業の説明

桐箪笥リフォーム(修理再生)の工程の洗い作業 まず、全ての金具を取り外し扉も外して、水を流しながら、タワシでごしごしこすって洗います。
 きちんと修理するためには、まず埃を洗い落とすことから始まります。
 洗った後は、陰干しでじっくり乾かします。



桐たんす破損部分 桐たんす扉の破損の状態(リフォーム)
 左上の写真は、天板と側板の反りによって、めくれあがって、木が裂けてホゾ組みが外れた状態を、撮ったものです。
 右上の写真は、扉の合わせ目の召し合わせの破損の状態を撮ったものです。写真を見て解ると思いますが、扉の幅も大分縮んで中央の扉の合わせ目が、大分開いております。

桐箪笥リフォーム(修理再生)作業の一工程 桐箪笥修理(リフォーム再生)の締め直しの工程
 まず、先ほどの側板と天板の反りによる、めくれ上がりを修正する為に、反りの激しい部分を挽き割って、反りの力を抜きます。つまり、左右側板、天板の、反っている部分を割ります。そうして、木の癖を抜いてから、きっちり胴体を締め直します。
 左上の写真は、胴板(側板、天板)の挽き割りを撮ったものです。右上の写真は、閉め具で、胴体を閉めている所のものです。

桐たんすリフォーム(修理再生)の胴体の締め直しの工程 桐箪笥胴殻修復(修理再生リフォーム)作業
 左上の写真は、挽き割った箇所に細い木を差込、修正しながら、胴体を閉め直している所を撮ったものです。
 右上の写真は、挽き割った所と反りを修正し、胴体を閉め直して、修復し終わった時のものです。

桐箪笥胴体地板修理(リフォーム、再生) この桐たんすの、胴体の地板(底板)や、棚板も7ミリ程度縮んでおりました。
 新たに、人為的に割れ目を作って、その割れ目を押し広げるように木を差し込んで、奥行きの寸法を元の状態に修正しました。この写真は、その時の写真です。


桐箪笥胴体裏板割れ破損の状態 この桐箪笥の、胴体の裏面も、真ん中で、13ミリほど縮んでおりました。それで、内側のお盆が出し入れ出来ませんでした。
 左側の写真は、裏板の縮みによる割れの状態を、撮影したものです。


桐箪笥胴体裏板修理(リフォーム再生) 桐たんす胴体裏面修復(リフォーム、修理再生)
 裏板も、縮んでおりましたので、人為的に割れを作り、その割れを押し広げるように木を差し込んで、元の幅に修正します。割れ目が、7ミリ程度に広がりました。上の2枚の写真は、その工程のものです。

桐たんす木釘打ち付け(リフォーム) 桐たんす木釘頭挽き切り(リフォーム)
 裏板の幅を、伸ばして修正したら、糊をつけて木釘を打て止めます。木釘は、頭をのこぎりで挽き切って、最後にカンナをかけて仕上げます。

桐タンス側脚付け直し修理(リフォーム再生) 桐箪笥の、胴体の下側の側面の脚も、新しく付け直します。








桐箪笥扉の取り付け部分破損の状態 桐箪笥取り付け部分修復(修理再生リフォーム)
 扉の、取り付ける部分も傷んでおり、蝶板を取り付けることが出来ませんでした。それで、傷んでいる部分を、掻きとって少し堅めの木で、埋木をします。
 このようにすると、蝶板を取り付けるときしっかりと丈夫に、止めることが出来ます。

桐箪笥前側桐柾目板練り付けし直し修理(リフォーム再生) 桐箪笥前側桐柾目板練り付け修理(リフォーム再生)
 胴体の、奥行の深さを調整するために、新しく桐の柾目板を、貼り付けし直します。左上は作業時の、拡大写真です。右上は、作業時の、全体の様子を撮った写真です。

桐たんす修理再生(リフォーム)のカンナ削り直し 桐箪笥の、胴体の修復が終わったら、全体にカンナをかけて仕上げます。このようにして、削り直した時点で、大体のキズはなくなります。
 裏面から削り、側面、天板、最後に前側を削って仕上げます。




桐箪笥リフォーム(修理再生)扉召し合わせ定規新規製作取り付け 桐箪笥リフォーム扉蝶版取り付け部加工
 扉も、全体に縮んで居りました。それで、新しい木を両側の扉に、5〜6ミリ程継ぎ足しました。そして、扉同士が合わさる召し合わせ定規が、破損していたので、左上の写真のように、新しく作って取り替えます。それから、扉の蝶版を取り付ける部分を加工します。

桐たんすお盆破損の状態 扉の内側に入る、お盆も、底板が縮んで、破損していました。






桐箪笥お盆修理(リフォーム再生)完了 それで、人為的に、割れを入れ、割れ目を押し広げるように、新しい木を差し入れて、底板の奥行を元の状態に修正し、締め直しをして、木釘を打ち直し、修復します。



 桐たんすリフォーム修理再生、木地修復調整の後、カンナで削り直し、トノコ化粧前
 とりあえず、この桐箪笥の、木地の修理とカンナでの削り直しが終わりました。そして、お客様が、うちに見にこられました。お客様が、「よく、こんなに直るもんやなぁ」と言われました。
 お客様と最終的な相談の結果、ヤシャトノコ、化粧仕上げにすることに決まりました。あと、扉の取っ手は、傷んでいたので、替えることにしましたが、お客様に選んで頂きました。
 そして、取っ手(ハンドル)を付ける位置も、お客様の使い勝手の良い場所に、相談して決めました。
 このように、うちでは出来るだけお客様のご希望を聞くようにしております。

桐たんすの木地の修理が完了しました。以下は、部分的、拡大写真です。

桐箪笥修理再生リフォーム側板天板破損部分修復完了拡大写真 天板と側板の、ホゾ組の裂けて傷んでいた所も、きれいに直りました







桐箪笥木地修理(リフォーム再生)完了時の裏面写真桐箪笥木地修理完了時扉部分拡大写真
 左上は、裏面からの写真です。台輪は、傷みが激しかったので、お客様と相談の結果、作り直しました。
 右上は、扉の修理の様子を拡大して撮った写真です。

ヤシャ・トノコ化粧、仕上げ作業の説明 (リフォーム)

桐箪笥リフォーム(修理再生)におけるトノコ化粧仕上げのウヅクリ作業
 桐の木地の表面にウズクリをかけて、木目に沿って、凹凸をつけて木目を際立たせます。
 ウズクリとは、畑の、ウネと言う言葉の意味が語源になっていて、凹凸を付ける為のタワシのようなものです。

桐箪笥トノコ化粧仕上げに使う水溶き砥の粉 桐箪笥ヤシャ砥の粉化粧仕上げの染料ヤシャブシ  
 左上はトノコを水で溶いたものです。このトノコで目止めをし、右上の写真のヤシャブシの染料で、木目を鮮明に出します。さらに、トノコとヤシャブシを混ぜたものを塗って仕上げます。
 トノコは、黄土色した細かい土の粉です。ヤシャブシは、ハンノキの実で、これを煎じて使います。

桐たんすの仕上げに使うロウ
 そして、ロウを引いて、すり込みます。艶出しと、手垢止めになります。





 桐箪笥リフォーム修理再生、木地修復後、ヤシャ・トノコ化粧仕上げ、正面から桐箪笥を撮影
金具をつけて、桐箪笥リフォーム(修理再生)の作業の完了です。お客様が、選ばれた銀色の取っ手が、トノコ化粧の仕上げと、調和して感じよく映えています。

桐箪笥リフォーム(修理、再生)の、トノコ化粧仕上げの拡大写真とその説明

桐箪笥修理再生(リフォーム)ヤシャ砥の粉仕上げ扉召し合わせ取っ手部分拡大 扉の、取っ手付近を拡大して撮った写真です。上品に桐の木目が出ております。
 取っ手は、お客様が選ばれました。桐の砥の粉化粧仕上げとよく合い、ちょっと、しゃれた感じになりました。



桐箪笥リフォーム(修理再生)ヤシャ砥の粉化粧仕上げ天板扉上部拡大 砥の粉化粧仕上げをした、天板と扉上部を拡大して撮った写真です。
 扉を直した部分は、それほど気になりません。






桐箪笥リフォーム(修理再生)における扉内側の拡大 扉内側の、桐の砥の粉化粧仕上げを拡大して撮ったものです。
 蝶板取り付け部分の修理した箇所が、わかるかと思います。





 桐たんすリフォーム修理再生、ヤシャ・トノコ化粧仕上げ完了、斜め横側から全体を撮影
 砥の粉化粧仕上げが終わって、斜め側面から撮った写真です。
 側面や前側の、新しい木を使って修復した箇所は、ほとんど、目立たなく、わからなくなりました。うまい具合に、この桐箪笥は、リフォームできました。
 こうやって見ると、どこが傷んでいて、どこをどうやって直したのかさえわかりません。仕上がった時にも、お客様が、うちに見にこられ、びっくりされました。

桐箪笥のリフォーム(修理、再生)が終わり納品します。

桐箪笥のリフォーム(修理再生)が終わり納品前の荷造り この桐箪笥のリフォームが終わり、納品するために養生しています。
 納品先は、すぐ近くですが、車で運んだりするのと、桐箪笥は、表面が柔らかく、キズが付きやすいので、養生しています。
 特に桐箪笥は、ぶつけたりしないように、最新の注意が必要です。




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  ご 案 内



会社名 大東漆木工(おおひがしうるしもっこう)
〒602-8491 京都市上京区西社町198−1
TEL 075−432−0043

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